夜間頻尿に適している漢方薬はコレだ!

頻尿は、西洋医学ではなかなか異常とは認められず、その点で漢方医学、漢方薬の効果が注目されています。特に夜間の頻尿への効果は際立っています。では、具体的にどんな漢方薬が夜間頻尿に効果的なのでしょうか?

夜間頻尿に対しての効果がとりわけ注目されているのは、八味地黄丸(はちみじおうがん)と牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)です。

どちらも、「腎虚」と呼ばれる、生命エネルギーを蓄えられなくなっている状態の改善に効果を発揮する漢方薬です。

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8種類の生薬を配合して作られた八味地黄丸

八味地黄丸は、地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく)、牡丹皮(ぼたんぴ)、沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)、附子(ぶし)、桂皮(けいひ)という8種類の生薬(天然の植物・動物・鉱物の全部または一部を切ったり潰したり熱したりなど簡単に加工し乾燥させて薬として用いる物)を配合した漢方薬です。

地黄とは、ゴマノハグサ科のアカヤジオウまたはカイケイジオウの根をそのまま、あるいは蒸して乾燥させた物です。血中の熱を取り除き、血を補う作用があります。中国に現存する最古の本草書『神農本草経』にも載っているほど古くから用いられている生薬です。長く用いても副作用が無く、ゆっくりじわじわと全身に効き、味も甘く、万人向きの生薬とされ、非常に広く愛用されています。

山茱萸とは、ミズキ科サンシュユ(別名ハルコガネバナ)の種子を除いた果実(正確には偽果)の果肉を乾燥させた物です。滋養強壮作用、補血作用、止血作用、利尿作用などがあり、特に高齢者の頻尿を止め、腰や膝を温めて痛みを取り除き、アレルギーを抑えます。温めた牛乳にサンシュユの枝を入れ、保温して一晩置くとヨーグルトが出来ます。

山薬とは、ヤマノイモ科ヤマノイモまたはナガイモの根の皮を薄く剥いで乾燥させた物です。日本産はヤマノイモで主に長野県で産出され、中国産はナガイモで主に河南省で産出されます。滋養強壮作用と緊張緩和作用があります。また、止瀉薬として下痢を止める働きもあります。

牡丹皮とは、ボタン科ボタンの根皮を乾燥させた物です。血中の熱を取り除き、血行の停滞を解消する作用があります。花は、いわゆる「立てば芍薬、座れば牡丹」の「牡丹」です。かつては中国の国花とされていました。

沢瀉とは、オモダカ科サジオモダカの根茎を乾燥させた物です。水分代謝を調整し、不要な水分を排泄する作用があります。

茯苓とは、サルノコシカケ科の菌類の一種であるマツホドの菌核を、通例は外皮を剥いで乾燥させた物です。利尿作用や血糖低下作用があります。

附子とは、キンポウゲ科トリカブトの根を乾燥させた物です。冷えを伴う虚弱な人向けの生薬で、体内の水分の循環を改善し、新陳代謝を促進し、身体を温める作用があります。トリカブトは1986年のトリカブト保険金殺人事件でも有名な有毒植物です。生薬として用いる際には、毒性を1000分の1程度に弱める特別な処理が施されます。また、不美人のことを「ブス」と呼ぶ語源になった、という説もあります。

桂皮とは、クスノキ科ニッケイの樹皮を乾燥させた物です。主に芳香健胃薬として用いられ、その他に発汗、解熱、鎮痛などの効果があります。甘い刺激的な香りがあり、これを香辛料として用いたのがシナモンです。日本には8世紀前半に伝えられ、奈良の東大寺にある正倉院には、奈良時代の桂皮が保存されています。

八味地黄丸は、地黄、山茱萸、山薬が腎虚改善の中心的な役割を果たし、牡丹皮と沢瀉が腎虚による発熱を冷まし、沢瀉と茯苓が体内の水分のバランスを整える働きで腎虚改善の行き過ぎを抑え、附子と桂皮が血行を促進して全身を温め水分代謝を調節します。

そして、これら8種類の生薬を組み合わせた結果、疲れやすく、手足が冷えやすく、尿量減少または多尿で、時に口が渇く人、特に痩せ気味の中高年の、頻尿、排尿困難、残尿感、下半身や手足の冷えや痛みやしびれ、かすみ目、全身のむくみやかゆみ、倦怠感、前立腺肥大症、坐骨神経痛、腎炎、糖尿病、高血圧に効果を発揮する薬、八味地黄丸が出来上がっているわけです。

八味地黄丸にさらに2種類の生薬を加え、高齢者向けにした牛車腎気丸

八味地黄丸に牛膝(ごしつ)、車前子(しゃぜんし)という利尿効果の高い生薬を加えたのが、牛車腎気丸です。

牛膝とは、ヒユ科植物(日本産はヒユ科ヒナタイノコズチ)の根を乾燥させた物です。利尿作用の他、月経調整作用、血流を整える作用や他の生薬の効能を下半身に導く作用があります。

かつては、大量に飲んで堕胎を引き起こす薬として用いられていました。少量であれば妊婦が服用しても問題無いことが確認されていますが、通常は妊婦の服用は避けます。

車前子とは、オオバコ科オオバコの種子です。尿路の働きを活発にし、排尿障害を治す働きがあります。また、長く服用すれば身体を軽くし老衰を防ぐ、という説もあります。弱ったカエルをオオバコの葉の陰に置くと元気になる、という俗説もあります。

牛車腎気丸は、八味地黄丸にこれら2種類の生薬を加えることによって、下半身に一層有効に作用し、さらに高齢者向けの薬になっています。と言うのは、高齢者は痛みに敏感になっていますが、これらの生薬の組み合わせによって、痛みに対する過敏性が抑えられているからです。

また、高齢者は膀胱の収縮力が弱っていることが多いですが、膀胱の収縮力を弱めることなく、膀胱の過敏性だけを改善するからです。これらの働きは、一つの症状に狙いを定めて効果を発揮するように作られる西洋薬には期待できない特徴です。

八味地黄丸と牛車腎気丸の使い分け

頻尿対策として用いる場合、胃腸が強い人であれば八味地黄丸、弱い人であれば牛車腎気丸が適しています。

八味地黄丸は、処方薬としては、大杉製薬、クラシエ製薬、大峰堂薬品工業=クラシエ製薬、三和生薬、ジェーピーエス製薬、ツムラ、高砂薬業=大杉製薬によって、市販薬としては、クラシエ製薬、ツムラ、阪本漢法製薬、大鵬薬品工業(商品名ハルンケア)、三和生薬(商品名サンワロン)などによって発売されています。

牛車腎気丸は、処方薬のメーカーはツムラ1社のみで、市販薬としては、クラシエ製薬、ツムラ、八ツ目製薬、ロート製薬などが発売しています。

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