残尿感の原因は、男性と女性で違う

残尿感の原因には、男女共通のものもありますが、男女それぞれに特有のものもあります。

この違いは、性による身体の構造の違いに由来しています。

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男性特有の臓器、前立腺

男性特有の原因としては、前立腺炎や前立腺肥大症などが挙げられます。どちらも、男性の身体にしかない臓器である前立腺に発生する病気です。では、前立腺とはどんな臓器なのでしょうか?

前立腺は、膀胱の真下で尿道をドーナツ状に取り囲んでいる臓器で、精巣(睾丸)で作られた精子、精嚢から分泌される精嚢液(精液の成分の約7割)、前立腺が分泌する前立腺液(精液の成分の約3割)を混ぜ合わせて精液を作っています。

さらに、筋肉を収縮させて、作った精液を尿道に押し出します。

しかし、このメカニズムについては未だはっきりと分かっていないことが多く、精嚢液、前立腺液、そして前立腺自体についても、その働きは十分には解明されていません。

そのようなまだまだ未知の、デリケートな臓器ですが、ここに尿道を通って大腸菌、クラミジア、マイコプラズマ、腸球菌などの細菌が入り込み、増殖して炎症を起こせば前立腺炎になります。

前立腺炎は、全男性の半数が一生に一度はかかる、という説もあるほど身近な病気です。そして、慢性化すると、残尿感が現れることがあります。

また、前立腺は、若いうちは栗の実やクルミ程度の大きさですが、加齢と共に、萎縮していくか肥大していくか、どちらかの道を辿ることになります。

日本人男性の場合、かつては大抵萎縮していましたが、現在では80歳までに80%が前立腺肥大症になっている、と推定されています。

原因はまだはっきりと解明されてはいませんが、男性ホルモンが関係していることは確認されています。そして、前立腺が肥大し尿道を圧迫すると、残尿感を感じることがあります。

前立腺炎の場合も、前立腺肥大症の場合も、どちらも原因をはっきりと特定するのは簡単ではありません。泌尿器科での治療は、普通は薬物治療で、前立腺炎には、抗生物質、抗菌剤、抗浮腫剤、植物製剤(セルニルトン)、漢方薬など、前立腺肥大症には、α1受容体遮断薬(別名:α1アドレナリン受容体遮断薬、交感神経α受容体遮断薬、アルファワンブロッカー)、5α還元酵素阻害薬、抗男性ホルモン薬(別名:抗アンドロゲン薬)、生薬(別名:植物エキス製剤)、漢方薬などが用いられます。

膀胱炎にかかりやすい女性の身体

女性特有の残尿感の原因としては、膀胱炎や骨盤性器脱、PMS(月経前症候群、月経前緊張症)などが挙げられます。

膀胱炎にかかると、尿意切迫感や排尿痛と共に、残尿感も現れることがあります。これは、炎症によって膀胱が過敏になるためです。

膀胱炎は、男女どちらもかかる可能性がある病気ですが、人体の構造上、女性の方が圧倒的にかかりやすいです。と言うのは、この病気の多くは大腸菌による感染で、女性の身体は、肛門と尿道口が近く、しかも尿道が3㎝~5㎝と男性の尿道の3分の1ほどの長さしかないので、大腸菌が尿道を通って膀胱に入り込みやすいわけです。

そのような事情なので、女性の場合、排便時や清潔でない状態での性交時に、大腸菌などの細菌が尿道に入り込む可能性が高く、膀胱炎にかかりやすくなります。

また、案外盲点になっているかも知れませんが、温水洗浄便座(TOTOウォシュレット、INAX(LIXIL)シャワートイレ)の使用時も、女性が膀胱炎に感染しやすい時だ、と言えます。

なぜなら、ノズルが汚れていたり、身体の防御機能を持つ粘液をも洗い流してしまったりするからです。

骨盤の中に垂れ下がってくる臓器が膀胱や尿道を圧迫する

骨盤臓器脱とは、性器脱とも呼ばれる病気で、骨盤底筋群が弱り、支えられていた臓器が本来の位置から下がってきて、膣から体外に出てきてしまう、という病気です。

そして、そのように臓器が垂れ下がってくるので、膀胱や尿道を圧迫してしまい、場合によっては残尿感が現れることになります。

骨盤臓器脱の治療は、薬物療法が無効なので、原則的に手術療法が採られています。弱った骨盤底筋の緩みや臓器の垂れ下がりには、薬物の成分による治療効果が乏しいためです。

病院(泌尿器科)を受診するのが早ければ早いほど、手術療法の効果は顕著に上がります。

骨盤臓器脱を予防するには、骨盤底筋を鍛えることが大切です。と言うのは、そうすれば、骨盤臓器脱を予防出来て、間接的に残尿感を防ぐだけではなく、骨盤底筋の一部で膀胱や尿道を開閉する役割を持つ尿道括約筋などの筋肉をも鍛えて、直接的に残尿感を避けることにもなるからです。

PMS(月経前症候群)による残尿感とガイドライン

PMS(月経前症候群、月経前緊張症)とは、月経の1~2週間前に起こり、月経開始と共に無くなる様々な身体的精神的症状の総称です。

PMSという略称は、Premenstrual Syndromeの頭文字を取ったもので、Pre-(~前の)+menstrual(月経の)+Syndrome(症候群)を意味しています。

主な症状としては、イライラ、精神不安定、憂鬱、緊張、腹痛、頭痛、腰痛、乳房痛、むくみ、眠気、不眠、無気力、孤独感などが知られています。そして、多くないながらも残尿感や頻尿が起こることもあります。

月経が近付くと子宮が腫れてくるために、膀胱を圧迫して残尿感や頻尿を引き起こすわけです。また、PMS(月経前症候群)の主な症状として知られるイライラや精神不安定がストレスになり、それが残尿感や頻尿の原因になる場合もあります。

PMS(月経前症候群、月経前緊張症)による残尿感の対策は、正確な病因が解明されてはいないものの、症状が現れる時期と期間が大体決まっていることを踏まえて、考える事が出来ます。

イギリス月経前症候群協会(NAPS)は、食事の改善として、でんぷん質の食品、食物繊維の多い食品を多く摂ることを推奨しています。

そして、脂質、砂糖、塩、カフェイン、アルコールの摂取を減らすことも推奨しています。さらに、定期的な運動も推奨しています。

また、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は、『産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2014』の中で、症状日誌をつけることや、規則正しい生活・睡眠の習慣、定期的な運動、たばこやコーヒーの制限を推奨しています。

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