膀胱の機能が低下してくる50代~高齢者女性の頻尿の原因は?

50代~高齢者女性の頻尿・尿漏れ(尿失禁)には、どのような原因があるでしょうか?

主な原因として、骨盤底筋群の緩みと過活動膀胱の二つを挙げることが出来ます。一つずつ説明します。

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骨盤底筋群の緩みを原因とする頻尿・尿漏れ(尿失禁)

“骨盤底筋群”とは、英語で「骨盤の底の筋肉群」という意味のPelvic Floor Muscles(Pelvic=骨盤、Floor=底、Muscles=筋肉群)の直訳です。骨盤は底に穴が開いた入れ物の形をしていますが、その穴の部分である“骨盤底”を塞いでいる筋肉・靭帯群を指しています。

これらは、骨盤の中に納まっている膀胱や尿道を含む下腹部の臓器を下から支えると共に、骨盤底筋群を縦に貫いている直腸、尿道、膣を括約筋によって締め付けて支えています。

しかし、加齢と共に、括約筋を初め骨盤底筋群に属する筋肉・靭帯群は、傷付き、弱り、衰えていきます。特に、女性の場合、その最も大きな原因は、骨盤底筋群に極度の負担を強いる妊娠と出産ですが、50代~高齢者女性の多くは、既に妊娠と出産を経験しているので、骨盤底筋群を傷付け、弱らせ、衰えさせています。

その上、更年期になると、閉経と共に骨盤底筋群を強くする働きを持つ女性ホルモンの分泌が低下するので、ますます骨盤底筋群が傷付き、弱り、衰えることになります。

こうして、括約筋を含む骨盤底筋群が自然に緩むようになり、その結果、トイレが近くなって頻尿になる、また、急に立ち上がったり、重い荷物を持ち上げたり、咳やくしゃみをしたりして、お腹に力が入った時に、尿が漏れてしまう“腹圧性尿失禁”になる、といった症状が現れるようになります。

現代の生活や仕事のあり方は、高齢者だけでなく若年者にとっても、骨盤底筋群を傷付け、弱らせ、衰えさせる傾向を伴っています。

そのため、この種の頻尿や腹圧性尿失禁も幅広い世代に広がっており、例えば、腹圧性尿失禁について言えば、日本の女性の4割を超える2000万人以上が悩まされている、という報告もあるほどです。

とは言え、骨盤底筋群は自分の意思でコントロールすることが出来るので、意識的に鍛えることが出来ます。特に最近では、“骨盤底筋体操”というトレーニングが人気を博しています。

尿道や肛門、膣周りの筋肉を緩めたり締めたりするだけの、とても簡単な動きをベースにした、気軽に行なえるトレーニングです。これによって、症状の改善を図ったり、予防したりすることが出来ます。

過活動膀胱を原因とする頻尿・尿漏れ(尿失禁)

過活動膀胱とは、膀胱が過敏になり、自分の意に反して収縮してしまう病気です。言い換えれば、膀胱が勝手に収縮してしまう機能障害と言う事も出来ます。

過活動膀胱の罹患者数は、日本全国の40歳以上の男女全体で810万人(12.4%)と推定されており、50歳以上の女性では8人に1人、70~80歳代といった高齢者では30%以上との推定も報告されています。

過活動膀胱に罹ると、尿意切迫感に悩まされます。尿意切迫感とは、急に強い尿意を催し、漏れそうで我慢出来なくなることです。そして、我慢出来ずに漏れてしまうのが、切迫性尿失禁(緊迫性尿失禁)です。

文字通りトイレに駆け込まなければならなくなったり、実際に尿が漏れてしまったりするので、外出や乗り物に乗ること、人に会うことなどが本当に嫌になるでしょう。

さらに、過活動膀胱に罹ると、昼間の頻尿は言うまでも無く、夜間の頻尿にも悩まされることになります。寝ている間にトイレに行くために繰り返し起きなければならないので、十分に眠れず、眠りも浅くなり、疲れが取れないこともあるでしょう。

過活動膀胱の原因は、まだ十分には明らかにされていませんが、知られている原因の一つは、「神経因性」と呼ばれるものです。脳と膀胱・尿道を結ぶ神経のトラブルです。

脳卒中や脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳の障害、脊髄損傷や多発性硬化症などの脊髄の障害の後遺症で、脳と膀胱・尿道の筋肉を結ぶ神経の回路に障害が起きることがあります。

そのようなトラブルが起きると、脳から送られる指令を膀胱・尿道が正しく受け取れなくなるので、膀胱に尿が少ししか溜まっていないのに尿を出そうとしたり、膀胱と尿道の開け閉めの機能がちぐはぐになったりして、過活動膀胱の症状が出る、というわけです。

過活動膀胱の知られている原因のもう一つは、「非神経因性」と呼ばれるものです。神経のトラブルとは関係無い原因であり、普通は骨盤底筋群の緩みを指しています。

骨盤底筋群の緩みを原因とする頻尿・尿漏れ(尿失禁)は、上述したように、過活動膀胱を原因とするものとは別の括りで扱われるのが普通ですが、骨盤底筋群が緩んでいるせいで膀胱が過敏になり勝手に収縮してしまう、つまり、骨盤底筋群の緩みが過活動膀胱の原因となり、その過活動膀胱が頻尿・尿漏れ(尿失禁)の直接の原因になる、ということもあります。

それにしても、過活動膀胱の原因は、現在のところ、特定出来るものよりも特定出来ないものの方が多く、なぜか分からないが勝手に膀胱が収縮する、という場合が最も多くなっています。

過活動膀胱の診断で活用される専門の質問表

過活動膀胱の診断と治療では、初診時に通常、問診が行なわれますが、その際に「過活動膀胱スクリーニング質問票」や「過活動膀胱症状質問票(OABSS)」といった簡単な専門の質問票が使われることがあります。

「過活動膀胱スクリーニング質問票」は、「尿をする回数が多い」「急に尿がしたくなり、がまんが難しいことがある」「がまんできずに尿をもらすことがある」の三つのチェック項目のうち一つ以上に該当すれば、「過活動膀胱」の可能性がある、という内容の質問票です。

「過活動膀胱症状質問票(OABSS)」は、「朝起きた時から夜寝る時までに、何回くらい尿をしましたか」「夜寝てから朝起きるまでに、何回くらい尿をするために起きましたか」「急に尿がしたくなり、がまんが難しいことがありましたか」「急に尿がしたくなり、がまんできずに尿をもらすことがありましたか」という四つの質問に対してそれぞれ幾つかの点数付きの選択肢があり、規定の点数を超えていれば、過活動膀胱が強く疑われる、という内容の質問票です。

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